mixi日記サルベージ1

ひさびさにmixiにログインしてみたのだが、「こりゃもういつサービス終了してもおかしくないのでは?」と思えたため、自分の過去のmixi日記をこちらに転記して、自分でツッコミを入れることにした。

 

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2006年05月23日の日記

タイトル: 生きることは、舞に似ている。

 

今さらだが、今月の『テレプシコーラ』が凄かった。千花ちゃんの苦悩っぷりというか壊れっぷりが過去最高レベルに達していた。いつかこうなる日が来るとは思っていたが、こうして実際に目の当たりにすると想像以上につらいものがある。しかし悲しいことに、彼女がさらに本格的な苦悩の道を歩むのは、まさにこれからなのだろう。


「わたしはバレリーナにならなくちゃだめ?」


この台詞が、何よりも悲しく切なかった。真意はどうあれ、彼女がついにこんな言葉を口にするところまで来てしまったと思うと、何ともやり切れない。


テレプシコーラ』はダ・ヴィンチという雑誌に連載中の漫画で、簡単に言えば、姉の千花(ちか)と一緒にバレエを習う主人公、篠原六花(ゆき)の成長を描く物語なのだが、バレエに沿った話だけではなく、現代の日本社会に深く根を下ろしているようなリアルで重いテーマもその随所に盛り込まれており、バレエに全く興味のない人間であっても、ある種の独特な緊張感を持って読むことのできる作品である。絵柄からして、とりあえずは少女漫画に分類されると言っていいだろう。僕がこれまでに読んだことのある少女漫画と言えば、『あさりちゃん』や『お父さんは心配性』『天才柳沢教授の生活』『犬のお医者さん』といった、やや規格外な作品ばかりなのだが、初めてこの『テレプシコーラ』で少女漫画らしい少女漫画にひきこまれてしまった。ダ・ヴィンチで存在を知った6年ほど前から読み続けているが、その時から作品のテンションが全く衰えていないところが本当に凄い。


冒頭で記した千花ちゃんの苦悩は、バレエの公演中に脚を痛めたことから始まる。思い通りに踊ることができない体となった彼女は、脚を完治させるべく意を決して海外で手術を受けるのだが、なんとその手術にミスがあり、結果、舞台への復帰がさらに遠のいてしまうのである。人一倍バレエへの才能と情熱にあふれる上、自分に厳しくプライドの高い彼女は、今まさにアイデンティティ・クライシスの真っ只中。昔からの読者にとって、彼女のこうした姿を見るのが非常に切ない。最近では、少しずつ才能を伸ばし始めた妹の六花ちゃんがバレエを心底楽しんでいる姿を見て、嫉妬まじりの苛立ちをぶつけてしまう始末だ。あの妹思いの千花ちゃんが、である。マイペースで少し自分に甘いところのある六花ちゃんにとって、ストイックなクールビューティー才女の千花ちゃんは、姉でありながらずっと憧れの存在で、千花ちゃんもまたそんな六花ちゃんを可愛く思い、これまで励ましやアドバイスを続けてきたのだが、ここに来て二人の関係に不穏な変化が表れ始めている。こうした今の状況は、あらゆる意味で余りにも残酷だ。方法はどうであれ、読者は千花ちゃんが再び自信を取り戻し、舞台の上で優雅に舞う姿を望んでいる。間違っても、失意の末に壊れてしまった千花ちゃんが六花ちゃんを昼ドラばりに苛め抜くという展開は避けて欲しい。(なんとなくそうなる気もするが)


実は、この漫画には二人の姉妹だけではなく、同年代の様々なライバルたちが登場する。その中に、貧困、アル中、児童虐待、狂気といったへヴィな問題を抱える家庭に生まれ育った、須藤空美(くみ)という凄まじい少女がいる。『テレプシコーラ』の最終兵器と噂される彼女は、どういうわけか最近ストーリーに全く姿を見せないのだが、彼女には皆が度肝を抜くような劇的な再登場をすることを願ってやまない。


そういったわけで、山岸先生、どうかあと10年は連載を続けて下さい。

 

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どうやらダヴィンチ2006年5月号か6月号に掲載のテレプシコーラを読んだときの感想のようだ。

 

「あと10年は連載を」と綴っているが、残念、君の願いは叶うことはなかった。この年のうちに第一部が終わり、その後再開された第二部も3年くらいで終わってしまった。

 

そして「千花ちゃんが六花ちゃんを昼ドラばりに苛め抜くという展開は避けて欲しい」と書いているが、この後の展開はそんなレベルではないんじゃよ...